道化師が描く、愛ある官能小説 >> 人妻官能小説 家庭内盗撮の妄想 

2007年04月26日

文章の情報密度と価値密度

 情報密度とは言っても、光ディディスクなど記憶媒体の話ではありません。ここで書きたいのは、文章表現において、情報量を字数で割った値のことです。
 
 これに対して価値密度とは、文章の価値を字数で割った値……って、そのまんまやないかい!(笑

 コンピュータやデジタル通信で使う情報量は、定量的に量れるもので、単位はByteです。データ量と言った方が適切かも知れない。これに対して文章における情報量とは、すなわち文章内にどれだけの意味が含まれているかを表す尺度です。
 
 例えば「彼はなかなか物事が決められず、周囲の人間をイライラさせることが多い」と「彼は優柔不断だ」は、ほぼ同じ意味ですが、字数が少ない後ろ側の表現の方が、情報密度は高い。ただ、前者は現象を、後者は認識を述べているので、まったく同じとは言えませんが。
 
 文章の情報密度を、磁束密度の「ガウス」のような単位で数値的に表すことは困難だと考えられますが、情報密度の高い・低いは定性的に見分けられ、評価できる性質のものです。
 
 しかし、意味が濃い文章かどうかと、その意味が読み手にとって価値があるものかは、別の問題です。こちらを、文章の価値密度と呼びます。この価値密度は、読み手が何を求めているかによって大きく変わります。
 
 つまり、有用な論文を探している人に、名作とされる小説を与えても無価値でしょうし、純愛小説を読みたい人に、濃厚な性描写は価値がないというよりは、むしろマイナスの価値を生むものでしょう。これは、需要と供給の問題です。
 
 物語というのは、無闇と文章の贅肉を削って、情報密度を高めればいいというものではありません。好ましい味や雰囲気を生み出すのは、本筋以外のアソビであることも多いですし、適度な冗長性は必要です。しかし、あまりに情報密度の薄い文章は、読んでいてうんざりするものです。
 
 
 小説の場合、文章量に見合った物語を提供できているかは、かなり重要な評価基準だと思います。文体そのものもですが、ストーリーに起伏や妥当性がないと、単に文字が沢山あるだけの、読むのが苦痛なシロモノになりかねない。
 
 情報密度は文章技術により左右され、価値密度は嗜好や関心の違いによって影響を受けます。二つは無関係ではないが、同一でもない。
 
 両者を混同するのは危険ですし、技術の未熟さを嗜好や趣味の問題にすり替えるのは、書き手にとってはタブーだと感じます。上手くなりたいなら、読者に喜んでもらいたいなら、そうしたエクスキューズに逃げてはいけない。自戒を込めて、私はそう思います。
posted by 官能小説書きの道化師 at 17:23 | Comment(3) | TrackBack(0) | 小説創作のあれこれ
この記事へのコメント
>技術の未熟さを嗜好や趣味の問題にすり替えるのは、書き手にとってはタブーだと感じます。

耳が痛いな。
これでもかという文章を書いてしまう。
言葉を書き連ね、読み手に理解してもらおうと、文字の羅列になってしまいがちです。

テクニックがないからしょうがないのだ。勉強してこなかったのだから、書けなくて当たり前だ。そうやって、私は逃げていたのですね。


雨が続いています。
雨の日は嫌いではないが、こう毎日降られてはさすがに情緒があるなどといっていられない。現実には、土砂災害が心配ですから。

ピエロさんのところは、どうですか?
Posted by 寂寥 at 2008年06月24日 06:40
寂寥さま

あくまで自戒の言葉ですから、人様を非難しようとかは考えておりません。でも、つい人は自分の用意した『理由』に安心してしまう。文章に関わらず、万事にそういう傾向はあると感じます。

ここエルサレム(笑)では、滅多に雨は降りませんが、降れば土砂降り、泣きっ面に蜂ですね。

雨を見ていると、高野喜久雄さんという方の「雨」という詩の一節を思い出します。


降りしきれ 雨よ
降りしきれ
すべて
許しあうものの上に
また
許しあえぬものの上に
Posted by 道化師 at 2008年06月24日 10:44
こんばんは、エルサレムは今日も晴れですか?(笑)

ここ日本では、大変な雨です。



・・・・・

降りしきれ雨よ わけへだてなく
かれた井戸 踏まれた芝生 事切れた梢
なお踏み耐える根に

降りしきれ そして立ち返らせよ
井戸を井戸に
庭を庭に
木立を木立に
土を土に

おお
すべてを そのものに そのものの手に




高野喜久雄さんの合唱組曲「雨」のことばですね。

言いえています。
雨の音をじっくり聞けるような気さえしてきます。
心の寂寥も、きっと流してくれるでしょう。
  
Posted by at 2008年07月01日 20:32
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