道化師が描く、愛ある官能小説 >> 人妻官能小説 家庭内盗撮の妄想 

2007年01月05日

官能小説に『人物』は必要か?(2)

 官能小説に限らず、小説という表現手段全般にとって、マンガやアニメはとても強大なライバルだと思います。
 この事は、かなり前に筒井康隆御大のエッセイで読んだのですが、自分で官能小説を書くようになって、切実に感じ始めました。
 
 マンガ的な表現には、記号化されたものが多くあります。脚を横向きの竜巻のように描いて、走っているのを表したり、官能マンガのヒロインたちが、とても蠱惑的なプロポーションをしていたり。
 ディフォルメが定型化・常態化しているため、読み手はその図柄を見ると、条件反射的に特定の状況や感情や人物像を思い浮かべる訳です。
 
 現在、四十代以下の人たちの多くは、ごく小さい頃からマンガを読んで育って来ています。
 すべてのマンガのキャラクターが類型的な訳では無論ありませんが、記号化された表現やキャラクターを楽しむ回路は、私たちの頭の中に既にしっかりと出来上がっていると考えられます。
 
 官能小説をマスターベーションの道具として捉えた場合、個性的で難解な登場人物は、むしろ妄想の邪魔になるでしょう。純真な美少女、清楚な人妻、淫乱なOL、妖艶な熟女 ── それで十分にイメージできるではないかということです。これは一理ある意見です。
 
 また、登場人物たちの目的が(それなりのバリエーションや、例外はあるにしろ)セックスという普遍的な行為だというのも、記号化されたキャラが好まれる一因のようにも思えます。男がどう行動し、女がどう感じるか、私たちには共通の認識があります。
 
 加えて、一般小説において期待される「感情移入」と、官能小説を読む時の「人物同化」は、どうも別物のような気がします。
 良質の感情移入を生むには、人物の特徴を浮き彫りにする描写が不可欠ですが、犯す/犯されるキャラに同化するには、対象が適度にのっぺら坊である方がいいのかも知れません。
 
 ただ、あくまでも「適度に」が大切だと思います。マンガの画風やペンタッチにあたるのが、小説では筆致や文体といった表現の個性だと考えられますが、それが類型的で紋切り型だと、魅力の乏しい作品になるのは、官能小説であっても同じでしょうから。
 
 一般の小説は知性で楽しむものですが、官能小説は、知性を触媒かテコのように使って、より本能に近い「官能」で堪能すべきもの。
 その目的に照らして、邪魔にもならず、かといって物足りなさも感じさせない。そんな描き方が最上なのでしょうね、きっと。私も精進せねば。(笑)
posted by 官能小説書きの道化師 at 21:40 | Comment(2) | TrackBack(0) | 官能小説について考える
この記事へのコメント
どうも、お久しぶりです。小説談話室でたまにお会いした邯鄲夢です。憶えていらっしゃいますでしょうか。

一連の官能小説に関する考察、なかなか興味深いです。まだ読み込むところまで至っておりませんが、同感と思うところもあり、ちょっと私と考え方が違うな、と思うところもあり、いろいろ考えさせられます。
私もいわゆる自分のジャンル(MC小説)に関して思うところもあるので、こうした考察を自サイトに綴ろうと画策しています(笑)

それではまたいずれどこかで会いましょう。
Posted by 邯鄲夢 at 2007年01月06日 19:38
 どうもー、お久しぶりです。
 
> 憶えていらっしゃいますでしょうか。

 もちろん、よく覚えております。最近の談話室は人も疎らで、なかなかわっと盛り上がりませんよね。私も、あまり伺えてないし。
 
> 同感と思うところもあり、ちょっと私と考え方が違うな、と思うところもあり、いろいろ考えさせられます。

 書き手の方に読まれるのは、ちょっと怖かったりもするんですが、思考の基点になればと思い、自分の考えを書いております。自分でも、まだ掘り下げが足りないなとか、ここまで本当に言い切れるかなと思うこともありますが、まずはサーブを打ってみてからだという姿勢で。
 
> 私もいわゆる自分のジャンル(MC小説)に関して思うところもあるので、こうした考察を自サイトに綴ろうと画策しています(笑)

 おお、それは是非。「作者は、作品を通じてのみ語れ」というのは、概ね正しい意見だと思いますし、「アマチュア作家ごときが、何を偉そうな事を」と受け取られかねない危険も感じますが、自分の考えを整理できて、それが作品の深さにつながるのなら、マイナス面ばかりではないと思います。
 
 性的な内容を含んだ官能小説(やMC小説)など、まじめに論じる価値なし ── 被害妄想かも知れないですが、そうした「お手軽なもの」として受け取られているような気がして、それが悔しいという動機もありました。屈折してますね、私。w
 
 ともあれ、そういう考察が百花繚乱の様相を呈すれば、私が目立たなくなって、もっと過激なことも言いやすくなるので大歓迎です。w
 
 では、またどこかで。(と、背中に哀愁を漂わせながら、去ってゆくのでありました。w
Posted by 道化師 at 2007年01月07日 15:56
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